取り残された動物たちと

​どのように向き合っていくか

世界初の取り組み

研究者と被災農家が

復興・再生に向けた世界初の取り組み

研究会では、震災後より旧警戒区域内に残され継続飼育されている牛たちの行動解析

被ばく線量測定、血液生化学解析で得られる遺伝子解析など

貴重な科学的知見を収集し続けています

チェルノブイリ原発事故の際も、世界から注目が集まり多くの研究が行われましたが

大型哺乳動物における被ばくの影響について科学的データは残されていません

福島は後世のための重要な研究の場として注目されており

特に今回、大型動物の放射性物質の体内分布、体内動態のデータが得られています

被災農家と研究者、獣医師が放射能汚染の最前線でひとつになり取り組むプロジェクト

今の福島でなければできない世界初の研究活動です

無に支配された町にポツンと彷徨っていた牛
寂しげな眼差しで逃げるでもなくじっとこちらを見つめていた (2013年4月撮影:旧警戒区域20キロ圏内)

想定外の混乱​

福島第一原発20キロ圏内の旧警戒区域には、震災前ウシ3,500頭、ブタ3万頭、ニワトリ67.5万羽がいましたが、震災発生の2か月後には推定でウシ1,300頭、ブタ200頭に減少したと報道されました

想定外の震災、原発事故により人間の避難もままならない中で家畜の避難準備などできるはずもなく、農家は情報のほとんどない中で、生かすのか安楽死するのか、究極の選択を迫られました

立入が制限された旧警戒区域の町にさまよう豚 (2011年12月撮影:旧警戒区域20キロ圏内)

地震、津波、それに続いて原子力発電所の爆発となった福島県

飼育されていたペットだけでなく、ウマ、ウシ、ブタといった家畜の

救出に際し、様々な場面で「命の線引き」が何度となく行われました
原発事故が引き起こした警戒区域20キロ圏内の畜産現場の惨状については誰も納得をしていませんが、想定外の混乱の中で何が正しく何が間違いであったかは誰にも分かりません

誰もいなくなった街、ダチョウが住宅地を闊歩していた

(2011年12月撮影:旧警戒区域20キロ圏内)

大震災直後に原発20キロ圏内に取り残された動物たち

立入が制限された旧警戒区域の町にさまよう豚
(2011年12月撮影:旧警戒区域20キロ圏内)

放れ牛となった和牛と乳牛が群れとなり餌を求めていた (2011年12月撮影:旧警戒区域20キロ圏内)

生い茂る雑草の中から鳴き声が。飼い主を待ち続けていた犬 (2011年8月撮影:旧警戒区域20キロ圏内)

この原発事故で、特に福島は放射性物質により汚染された牧草地や水田が残り、そして旧警戒区域では今もなお、

動物たちが生き続けています

原発事故が発生し、緊急避難後、置いて来た牛たちがどうなっていたのか
ようやく様子を見に行くことができたある日、農家の人々は変わり果て被災した牛たちの現状を目の当たりにして愕然としたといいます
生き残った牛への農家の思い…いったいわたしたちに何ができるのでしょうか 
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東日本の研究者が集まり未来につなぐ

日本における人間以外の動物は、伴侶動物・産業動物・野生動物・展示動物・実験動物に大きく分類されますが、旧警戒区域に存在する牛はどれにも属していません

経済動物としての前途を絶たれたいま、わたしたちに何が出来るのかを考え、長期的視野に立ちマイナスをプラスに転じられるような仕事ができれば、閉塞状況の畜産を活性化できるのではないでしょうか​

高線量地区での総合調査の様子。震災後から継続し研究者と農家が力を合わせ活動を行っている

(2013年8月撮影 : 旧警戒区域20キロ圏内)

低レベルの放射線が生体に与える影響
生体除染効果の検証
生存動物に対する健康管理
放牧牛による農地や景観の保全

など、
今の福島でなければできない研究や活動であり、この情報はさまざまに還元ができると考えています。原発事故が想定外ではなくなった現在、将来に向けた有用な知見が得られると考えられています

[写真左] 代表 : 伊藤 伸彦 北里大学名誉教授
[写真右] 事務局長 :  岡田 啓司 岩手大学農学部 教授